「ベースアップは常識」の裏側 最新賃上げ調査で判明した、構造的賃上げに取り残される"規模と業種"の境界線
賃上げ内容別の実施率推移をみると、2018年度以降は「定期昇給」が一貫して最も割合が高い。コロナ禍明け後の経済活動の本格的な再開により、人手不足が顕在化した2022年度は66.8%まで上昇、直近も6割強で安定的に推移している。
コロナ禍前の実施率と比較し、変化が目立つのは「ベースアップ」だ。2023年度には47.8%へ大きく上昇、2024年度は51.4%と半数を超えた。その後、2025年度48.8%、2026年度(見込み)46.8%と、やや低下したが、3割台で推移していたコロナ禍前の水準を大きく上回り、構造的な賃金底上げの動きが広がっていることがうかがえる。
「ベースアップ」と「賞与(一時金)」との差をみると、2023年度からは「ベースアップ」の実施率が「賞与(一時金)の増額」に10ポイント以上の差をつけて上回り、2024年度以降も10ポイント以上の差が定着している。
近年の「賃上げ」の特徴は、単なる定期昇給の維持にとどまらず、ベースアップという恒常的な賃金引き上げが拡大している点にある。物価上昇や人材獲得競争を背景に、企業の賃金政策が「一時的対応」から「構造的引き上げ」へと転換していることが、この推移から読み取れる。
ただ、退職金など長期的な人件費支出につながるベースアップは、収益圧迫のリスクも大きい。
企業別規模の違いで格差が開き始める
企業規模別のベースアップ実施率の推移をみると、大企業と中小企業で規模による格差が開き始めたのは2023年度以降だ。
2023年度は大企業が56.6%と前年度(35.2%)から20ポイント以上実施率を上昇させた。中小企業も46.6%とコロナ禍前を大きく上回り、急上昇したものの、大企業と中小企業間の実施率の格差は10ポイントと大きく開いた。
2025年度以降は大企業、中小企業ともにベースアップ実施率が緩やかに低下しているが、大企業は60%台、中小企業は40%台と格差が定着している。賃上げ原資、価格転嫁の進展、人材確保競争への対応力といった要素が、大企業と中小企業の間で「ベースアップ」実施率の差として表れている可能性がある。ベースアップの広がりは確認できるものの、進展度合いは企業規模によって異なる状況だ。




















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