学校司書が憂う「読書量の二極化」、年間300冊と0冊の差は〇〇に…スマホ世代の中学生にこそ必要?図書室を"居場所"として整える仕事のリアル

✎ 1〜 ✎ 36 ✎ 37 ✎ 38 ✎ 39
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「10年前、学校司書として働き始めたころは子どもが小さかったんです。フルタイム勤務は難しい状況だったので、子どもの学校の休みや帰宅時間に合わせて働ける仕事を探していて。本が好きだったので、これだ!と思って応募しました」

だが今は、フルタイムではないためにできることが限られると杉山さんは嘆く。

「総出勤日数が決まっているので、必ずしも毎週5日間の開館はできません。そして1日4時間の勤務では、最低限の運営だけで精一杯ですね。

残業代は出ないですが、残業することも。例えば3連休前、子どもがリクエストしていた本が届いているのにそのままにして休みに入るのは気が引ける。できるだけ早く手元に届けたくて、勤務時間を過ぎてしまっても少し残って作業を終わらせるようにしています。

あるいは先生から『国語の辞典をクラス人数分、用意してほしい』と依頼があったときは、授業の予定に遅れないようにと作業を急ぐ場合もありますね」

読書習慣の定着に欠かせない「学校司書」

12学級以上の学校には司書教諭が必ず配置されているとはいえ、学級担任や授業を持ちながらの兼任だ。学校司書である杉山さんのように図書室に常駐し、工夫を凝らした読書活動指導や、居場所としての図書室づくりなどにまで手が回らないのが現実だ。

専門知識があり図書室運営に専念できる学校司書が常駐することは、図書室の活性化につながる。だが、公立中学校で学校司書を配置している学校の割合は64.1%(文部科学省2020年度「学校図書館の現状に関する調査」より)。10校のうち3校を超える公立中学校で学校司書がいない。

自治体や学校ごとに図書室運営のやり方や方針が大きく異なり、異動の際の引き継ぎの仕組みが不十分な点も課題だ。

「勤務時間内に、本の貸し出しができる状態にだけしてくれたらいいという学校もあります。教員免許も司書の資格も持たない私が、学校司書としてどの立場で子どもたちと接するのが正解なのか、悩んだこともありました。

10年やって出てきた答えは、図書室を“本が大好きな地域のおばちゃんがいる居心地のいい場所”にすること。自分が選んだ本が次々と貸し出されて、その本の話をしている子どもたちを見るとき、心のなかでガッツポーズしてます(笑)」

知識の蓄積だけでなく、人間関係の構築や生きる力を養うためにも、読書習慣の定着は欠かせない。子どもの読書率が低下傾向にあるなか、本と子どもをつなぐ学校司書の配置や環境整備は、一考の価値がある。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
中原 美絵子 フリーライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事