だが、ヴェイグは、この「インフレは貨幣現象」という広く行き渡った考え方が、「負債の経済学」に対する無理解から来る根本的な誤りであると主張し、それをデータでも示している。
要約すれば、そもそも、高インフレという現象は歴史上まれであり、起きたとしても、適切に対処すれば、利上げによらずとも鎮静化できる。
そもそも、インフレは、マネーの過剰供給を原因とする「貨幣現象」ではない。歴史的に見ても、インフレの主な原因は、戦争などがもたらす「供給不足」である。22年以降の高インフレも、コロナ・パンデミックとウクライナ戦争による供給不足が原因であった。
だとするならば、インフレ対策は、緊縮財政や利上げではなく、供給能力の強化であり、そのための投資の促進ということになるであろう。
高橋財政批判の誤解
先に、ヴェイグの「負債の経済学」は、高橋是清やポスト・ケインズ派にも共有されていると述べたが、彼らも、インフレが貨幣現象ではないと主張し、インフレ対策としての利上げに否定的であった。貨幣供給の増加がインフレを招くのではなく、インフレが貨幣供給の増加を招くのである。
例えば、高橋是清は、1912年にこう述べていた。
ちなみに、高橋財政については、その放漫財政が戦後の高インフレを招いたという批判が広く行き渡っているが、戦後の高インフレの原因は、戦争による供給力の破壊であって、積極財政とは関係がないのだ。





















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