トヨタの次世代モビリティ「e-Palette」が直面する2つの課題。乗用車でも商用車でもない新たな概念は浸透するか?

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こうしてe-Paletteの活用事例を体験し、またトヨタ関係者と意見交換をして見えた、e-Palette普及における“2つの大きな課題”とは何か。

1つ目の課題は、旧来型の新車販売体系からの転換の難しさだ。

災害時を想定した展示。ヒーターや電気毛布などの電源車として活用している(筆者撮影)

現状では、トヨタがe-Paletteの商品企画・製造・卸売をして、それを地域の販売店がリース販売する形式をとっている。これまでの新車販売と同じ商流だが、果たしてこれがベストアンサーなのか。

e-Paletteが乗用車でないことは明らかであり、一方で単なる商用車でもない。つまり、B2C(個人向け)やB2B(事業者向け)ではなく、かといってB2G(行政向け)に限定したモビリティでもない。

そのため、仮にトヨタが従来の商流を維持するのであれば、販売店の意識改革と行動変容が求められる。しかし、現時点では、トヨタと販売店の間で具体的な戦略は練られてはいないようだ。

これまでと異なる概念のモビリティゆえに

2つ目は、サービサーとしてトヨタがどこまで踏み込むのかだ。

e-Paletteは「コト売り」を前提とした「モノ売り」であり、トヨタがコト売りを盛り込んだサービス・プロバイダーになる必要がある。

今回トヨタが示したe-Paletteのユースケースは、トヨタがサービスを提案する立場であるが、それだけでは事業規模が限定的になりかねない。これはトヨタも十分承知していると感じたが、もっと積極的にトヨタがサービスの自前化を進めてもよいのではないだろうか。

普通充電だけでなく急速充電にも対応させたことが、普及を目指して実用性を高めたポイントのひとつ(写真:トヨタ自動車)

いまはMONETがその役割の一部を担っているが、トヨタ本体として販売店と連携する新ビジネス商流をゼロベースで構築する必要があると思う。

e-Paletteは、トヨタにとってまさに「自動車会社からモビリティカンパニーへ」の転換の象徴だ。

いまは2030年代を見据えながら「まずはやってみる」という段階。だが、トヨタとして「やり切る」ためには、大規模な商流転換に対する覚悟が必要になってくるだろう。

【写真】さらに詳しく見たい「e-Palette」のユニークなカタチ(25枚)
桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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