献立は1週間分を暗記——80歳「スーパー寮母」の日課と段取り。若者の暮らしを支えて半世紀、学生寮を続ける活力はどこから?
何事も早めに準備する母親を、幾子さんはこのように言う。
「私たち娘からしたら、『お母さんそんな早くせんと、まだいいよ』って思うんですけどね。でも、自分のペースでやれる方が、母にとってはいいのかもしれないです」
それを受けて、勝子さんはこう返した。
「そうだね。『まだ早いよ』とか、『あとで私がやるから』って言われる方がしんどい。自分のリズムで物事を動かしてるから、ストレスを感じないんです。エネルギーを発散しているから。それが性に合ってるのかもしれない」
取材した日の夕食はハヤシライスとマカロニサラダ。味見を頼まれ、「コクがあって、ご飯がすすみそうです」と感想を伝えると「よかった」と勝子さんは微笑んだ。
午後7時、食堂は再び活気づく。まもなく、一日を終える学生が食堂にやってくる。パートのスタッフに恋愛相談をする学生。たわいもない話をし合う学生。あたたかくて美味しい料理を楽しみに、ここに戻ってくる。
「一日でも長く」
「一日でも長く、ここに立っていたい」と語る勝子さん。
今後のグリーンハイツのことは、決めていない。いつか、自分がこのキッチンに立てなくなったとき、3人の娘たちに預けようと思っているそうだ。
勝子さんが「好きなようにしてくれればいい。どうするのも自由よ」と言った。キッチンで話を聞いていた幾子さんは「私たちが悪いようにするわけないってわかってるから、そう言ってるんでしょう」と冗談っぽく返した。
夫と守ってきたこの場所を続けたい――。はっきりと言葉にはしないものの、勝子さんの表情がそう物語っていた。
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