50年学生を見てきた寮母が気にかける「最近の親子と若者」の変化。だからこそ貴重な「食事付き35人の共同生活」

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そうした“見守る姿勢”を可能にしているのは、勝子さんが人脈を駆使し整えたサポート体制にある。

勝子さんの運営する寮では、スタッフは8人雇っており、1日4人体制だ。朝昼夜それぞれに一人ずつのスタッフと掃除スタッフが配置され、さらに月に2回、東京から3人の娘が手伝いに来ている。

食事の準備
手分けして食事を作っている(写真:京都学生グリーンハイツ提供)

学生たちは、勝子さんだけでなくそれぞれ話しやすい人を見つけて、たわいもない雑談や相談をしている。

「親ではないから、出過ぎた指摘はできません。ただ『あの子、最近崩れてきたな』と見て取れる時は、苦しく思いながら見守ります」

自立を促す一歩に

これらのスタッフたちの存在が、学生を自立に向かわせる一歩になる場合もある。勝子さんは、ある印象的な事例を語った。

京都大学に在学中の男子学生の母親から「どうしてもこの寮に入れさせたいんです」と泣きながら電話がかかってきたことがあった。

本人は大学の近くで一人暮らしをしていたが、生活が荒れ果てていた。学校にも通えておらず、それを知った母親が藁にもすがる思いで連絡してきたのだ。一方、親子面談の場では、学生にもう少し一人暮らしをがんばりたいという意思があり、話がまとまらなかった。

しかし後日、その学生から「やっぱり入居させてほしい」と連絡があり、入寮することになった。その後、寮で暮らすようになった彼に「ここでよかった?」と聞くと、こう答えたという。

「一人暮らしを始めて、家事って際限がないことを知りました。やってもやっても終わらないんです。でも、寮に住めば、その煩わしさがなくなり、大学へ自転車で30分で行ける。今は勉強に専念できて、すごく快適です」

寮の中の様子
寮の中の様子(写真:筆者撮影)

勝子さんはそれを聞いて、「なるほどな」と思ったという。

京都学生グリーンハイツの入居費用は、毎月7万4000円程度(家賃、管理費、共益費、朝夕の食事代)である。食費も込みなら安く感じるかもしれないが、さほど大差のない金額で1人暮らしをやろうと思えばできるように思う。

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