さまざまな分析を駆使してとくに民間債務の重要性を強調しているが、その影響は政府の財政債務以上だと指摘する。
民間債務の総額が対GDP比で150%を超えていて、かつ5年間で15%以上上昇していることが経済危機への目安になる、といった指摘は氏のオリジナルであって非常に興味深いところだろう。
トリクルダウンという言葉を聞いたことがあるという人は多いだろう。これはいわゆるサプライサイド経済学の立場の意見で、金持ちが裕福になるとその富が下々のほうにしたたり落ちて全体が潤うというモデルである。80年台からいままで生き残ってきている概念だが、ヴェイグは債務が増大する繁栄した経済においてはトリクルダウンは債務がしたたり落ちるのであって、それにより下々は困窮し格差は増大すると言う。
つまり何らかの救済(仕組みや手当の政策)が必要だと示唆しているが、この概念は既存の経済学にとっては驚きとともに痛烈な批判として耳が痛いものかもしれない。まさにヴェイグ経済学の逆説性の真骨頂だろう。
またこれはトマ・ピケティに通じる資本主義社会への警鐘のようにも感じられる。
負債の経済学の誕生
氏の最終的に言いたいことのひとつは、債務のこの二面性ゆえに、債務は「適切にコントロールされるべき」ということだ。
これが著者の「負債の経済学」(debt economics)の主張につながる。多くの経営者や個人、そしてエコノミストもだが、負債は結果だと思いやすい。つまり抗えない帰結であると無意識に思ってしまいがちだが、ヴェイグは負債を変数として量と質の両方の観点から操作(コントロール)すべきと考えている。




















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