民間債務「対GDP比150%超」は危機の兆候か 米銀行家が暴く「日本の失われた30年」の真因 銀行ではなく借り手を守るべき訳

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手法で言えばジュビリー(帳消し)を含む民間銀行や中央銀行、政府による一連の債務削減策を提示しており、このあたりは氏の銀行家としてのキャリアが存分に生かされた読み応えのある論考になっている。

本当に守るべきは「借り手」

この「負債の経済学」は新しい時代のマネタリズムになる可能性が十分にあると私は思う。

少し専門的に言えば、従来のマネタリズムの静的均衡論や中立性から、より動的で非対称なメカニズムを指向したモデルであり、これはハイマン・ミンスキーやチャールズ・キンドルバーガーの金融危機論とも整合するアプローチだと感じる。

私は経済学の非線形動学アプローチの研究家でもあり、ヴェイグの負債の経済学は非常に先進的でかつ(基本的に非線形現象である)現実を巧みに捉えうる予感がする。これは従来の経済学からみてとても野心的であり、マネー量とともに今後ますます増大していくであろう金融危機のリスクに実際的に対応できそうな筋の良さを感じさせる。

まだまだ見どころは尽きないものの、最後にひとつ。ヴェイグは日本のいわゆる“失われた30年”に関して確信を持った分析と提言を行っているが、これが日本の読者にとっては期せずしてボーナス的に大変興味深い内容となっている。

不良債権問題に際して、当時の政府は銀行の健全化の問題だとして銀行を優先して守ったが、本当に守るべきは何だったのか。ジュビリー(帳消し)により借り手を守ることではなかったか、というのがヴェイグの意見である。

佐々木 一寿 経済評論家、作家

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ささき かずとし / Kazutoshi Sasaki

横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業、大手メディアグループの経済系・報道系記者・編集者、ビジネス・スクール研究員/出版局編集委員、民間企業研究所にて経済学、経営学、社会学、心理学、行動科学の研究に従事。著書に『経済学的にありえない。』(日本経済新聞出版社刊)などがある。

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