いまだに経営者のトラウマ…2008年「リーマンショック」の真因 「血流」としての経済循環の悪化を解説

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上野:その通り。リーマンショック後は、これらの機関がフル活用された。緊急保証制度や特別融資制度を次々と創設して、企業の資金繰りを支えたんだ。

ミドリ:それで血流は回復したの?

一度「怖い思い」をすると、なかなか元に戻らない

上野:時間はかかったけど、徐々に回復した。ただ、企業の慎重姿勢は長く続いた。「現金は多めに持っておこう」という考えが定着して、内部留保を積み上げる企業が増えたんだ。

ミドリ:内部留保?

上野:企業が稼いだ利益のうち、配当や税金の支払い後に、会社内に蓄積された状態のお金のことだ。日本企業の内部留保は、リーマンショック後に急激に増加した。

ミドリ:それって良いことなの? 悪いことなの?

上野:難しい問題だ。企業にとっては安全だけど、経済全体で見ると成長の足かせになる面もある。そのお金のうち現金・預金の部分が設備投資や賃上げに回れば、経済はもっと活性化するからね。

ミドリ:じゃあ、政府は「もっとお金を使って」って言うの?

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上野:実際にそういう政策も打ち出している。法人税減税と引き換えに賃上げを促したり、設備投資減税を実施したり。でも企業の慎重姿勢を変えるのは簡単じゃない。

ミドリ:一度「怖い思い」をすると、なかなか元に戻らないんだね。

上野:人間も企業も同じだよ。リーマンショックの記憶は、経営者にとって強烈だった。だから「次の危機に備えよう」という気持ちが強くなるのは理解できる。ただ、それが行きすぎると経済の循環が悪くなる。

ミドリ:バランスが大事ってことね。

上野:そう。適度なリスクをとりながら、適度な備えも持つ。家計でも企業経営でも、この匙加減が重要なんだ。血流を完全に止めてしまうと、体全体が弱ってしまうからね。

上野 泰也 みずほ証券チーフマーケットエコノミスト

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うえの・やすなり / Yasunari Ueno

1963年生まれ。上智大学文学部卒業。会計検査院や富士銀行を経て為替や資金の分野でエコノミストを歴任。2000年から現職。著書に『世界一わかりやすい金利の本』など。

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