資さんうどんは、北九州で生まれた店だ。創業当初は、今のように多くのメニューがあったわけではない。基本はうどん屋で、提供している料理も限られていたという。そんな中で、客からは次々に要望をもらうようになる。
「今日は寒いから、もう少し温まるものが食べたい」
「うどんだけだと、ちょっと物足りない」
「子どもが食べられるものも欲しい」
そうした声に対して、現場で工夫し、対応を重ねた結果、ひとつ、またひとつとメニューが増えていく。何かを大きく変えようとしたわけではなく、日々の営業の中で少しずつ積み上がっていったものだ。
増えたメニューは現場で定着し、繰り返し注文され、「これは必要だ」と判断されたものだけが残ってきた。焼きうどんも、カレーも、もつ鍋うどんも、そうした結果、現在の定番になっている。
今では資さんうどんは「何屋なのか分からないくらいメニューが多い店」になった。だが、その内側をたどってみると、どれも生活の延長線上にある。
うどん屋でありながら、食堂のようでもある。その雑多さこそが、北九州で長く支持されてきた理由なのかもしれない。
それなのに。私はずっと、かしわうどんを食べていた。今日から私は、変わるのだ。
あっさりソースにふりかけで魚介の旨味を「焼きうどん」
この日、ようやく焼きうどんを注文した。
鉄板に乗って運ばれてきて、ジュージュー音を立てている。ひとくち食べてみると、想像していたよりもあっさりしていた。麺はもちもちで、ソースは香ばしいのに重くない。
途中で、別添のふりかけをかけてみると、印象が変わる。ソースの輪郭に、魚介の旨味が重なって、口の中が一段とにぎやかになる。香りが前に出て、後味が長くなる。ふりかけをかけた瞬間に完成する、という感じもある。



















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