「何も言わずにきちんとやる」
「手がかからない」
これは親にとっては非常に助かる存在ですし、「自立している」「しっかりしている」と評価しがちです。しかし、小学5年生という年齢で、親に何も言わせず完璧に振る舞うというのは、少し不自然なことでもあります。
「手がかからない子」=「心が満たされている子」とは限りません。
むしろ多くの場合、次のような心理が隠されていることがあります。
・「良い子」を演じることでしか、自分の価値を感じられない。
・親は兄(上の子)にかかりきりだから、僕は迷惑をかけてはいけないと我慢している。
・自分の感情や欲求を抑圧して、親の顔色をうかがっている。
これを「過剰適応」と呼ぶこともあります。下のお子さんは、さやさんが上のお子さんの対応で疲弊しているのを敏感に察知しています。「お母さんを困らせてはいけない」と、自分の子どもらしい欲求(甘えたい、見てほしい、話を聞いてほしい)に蓋をしている可能性があるのです。
ここで恐ろしいのが、「サイレント・ネグレクト(静かなる放置)」です。親は「あの子は大丈夫」と安心しているため、必然的に下のお子さんにかける時間や言葉数が減ります。
「宿題やったの?」「うん、終わったよ」「あ、そう」
これだけの会話で終わっていませんか?もしくは、こういった会話すらないかもしれません。
先ほど、子どもは関心の量で愛情を測ると言いました。上のお子さんが、叱られることによって1日100の関心(エネルギー)を受け取っているとしたら、下のお子さんは「問題がない」がゆえに、1日10程度の関心しか受け取っていないかもしれません。
この差は、月日が経つごとにじわじわと効いてきます。
「僕は良い子にしていないと愛されない」「ありのままの自分には価値がない」
そうした自己肯定感の低さを抱えたまま思春期を迎えると、ある日突然、無気力になったり、逆に激しい反動が出たりすることがあります。あるいは、大人になってから「他人の顔色ばかりうかがって生きづらい」という悩みを抱えることになるかもしれません。
「手がかからないから大丈夫」というのは、親側の都合による思い込みであり、子ども側からすれば「もっと僕を見てほしい」というサインを見逃されている状態かもしれないのです。
心を保つための「パラダイムシフト」
ここまでのお話で、状況の見え方が少し変わってきたのではないでしょうか。まとめると次のようになります。


















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