25年9月以降、カリブ海や南米沖では、アメリカ軍による「麻薬密輸船」攻撃が開始され、これまで少なくとも35回、115人以上が死亡したとされている。25年夏には、アメリカは誘導ミサイル駆逐艦3隻をベネズエラ沖に展開、数週間で強襲揚陸艦を含む約6000人規模の艦隊になった。
さらにF35戦闘機をプエルトリコに展開し、巡航ミサイル搭載潜水艦も南米沖で活動していたとされている。今回1月の攻撃は、この半年以上続いた軍事行動の大きなヤマと位置づけられる。
イギリスのシンクタンク・チャタムハウスの専門家は、「当初、麻薬作戦とアメリカが説明してきたものが、徐々にマドゥロ排除のための政権転覆作戦へと性格を変えていった」と指摘する。軍事的圧力を半年以上かけてきたにもかかわらず、ベネズエラ国内では反政府活動が盛り上がらなかったゆえの行動だという見方だ。
アメリカの力による介入
トランプ政権にとって今回の軍事行動には、対内的には国境の危機や麻薬流入、不法移民の問題をベネズエラに結びつけて、公約を守る大統領像を打ち出そうとした可能性がある。一方で、対外的には「外交と制裁中心」から「力による秩序回復」を掲げるという戦略だ。
ただ、今回はマドゥロ排除のための作戦にすぎず、ベネズエラの民主化移行や政権安定化を図る道筋は十分に描いていない可能性が高い。軍事作戦後の記者会見でトランプ大統領は「安全で適切で、慎重な移行が実現できるときまで、われわれが国を運営する」と述べた。
今回の事態を受けて、ベネズエラの憲法裁判所(最高裁判所)が、ロドリゲス副大統領に大統領代行を務めるよう命じた。ロドリゲス氏は、「抵抗と継戦」を訴えている。
では、マドゥロ政権はこれまで何をしてきたのか。国内ではすでに深刻な問題が山積していたのが事実だ。ベネズエラは産油国で、経済は原油に依存してきた。そのような経済構造に問題が生じたうえに、原油価格の下落と経済制裁が重なり、GDP(国内総生産)は2010年代から急落。ハイパーインフレに見舞われていた。
それにより国民の生活も不安定化し、公共サービスは崩壊して医薬品や食料不足、治安の悪化が深刻化。さらには隣国コロンビアやブラジル、チリ、さらにはアメリカへと移民・難民が数百万人規模で流出していた。




















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