片山氏のタブレット端末に示されたものは? 円安・債券安が進み、高市政権内で強まる警戒感、専門家からは日銀の年内利上げを予想する声も

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21日、高市早苗首相は総合経済対策を閣議決定した(写真:ブルームバーグ)

高市早苗首相は21日、総合経済対策を閣議決定した。大型減税を含む規模は21.3兆円、一般会計支出の増加分は17.7兆円とする。コロナ禍以降で最大規模となる一方、急伸する円安、債券安に政権内の警戒感が強まっているとの見方もある。専門家からは日銀の年内利上げを予想する声も出ている。

片山氏のタブレット端末

「当初予算と補正予算を合わせた国債発行額は昨年度の42.1兆円を下回る見込みだ。財政の持続可能性にも十分配慮した姿となっている。『責任ある積極財政』はプロアクティブな、先を見据えた財政政策であり、決していたずらに、拡張的に規模を追求するものではない」。対策の閣議決定後、高市氏は首相官邸で記者団にこう述べた。大型経済対策による財政悪化リスクへの懸念を少しでも軽減しようと、マーケットに向けて強いメッセージの発信に注力した形だ。

高市氏のこうした発信には伏線があった。17日午後、対策の策定に携わる政権幹部が官邸で高市氏を囲んだ。対策の規模や項目の最終調整作業だ。事情を知る政府関係者によると、その場で片山さつき財務相が自らタブレット端末を開き、高市氏に長期金利のチャートを示した。その上昇ぶりを高市氏は神妙な表情で確認していたという。同関係者は「片山氏は警戒感を高めている。高市氏も円安、債券安はかなり気にしているようだった」と話す。

この日、円債市場では新発10年国債利回り(長期金利)が前営業日比3.0ベーシスポイント(bp)上昇の1.730%と、2008年6月以来の高水準(債券価格は下落)となった。

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