東京の『韓国大使館』には20人の「スパイ」が送り込まれている?“韓国のCIA” 国家情報院は日本で何を探っているのか

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情報活動は、報道や関係者と話すことを通じて現状を探っていくのが主だが、防諜活動は敵国や敵対勢力との関係が疑われる人物について、どういった団体や個人とつながっているのかを割り出し、組織の全容解明を図るのが目的だ。

それ故に、防諜活動に関わる要員は、対象者の徹底した尾行のほか、時には住宅や事務所に侵入して関連の書類を見つけ出して接写するなど、法律の範疇を超えた活動を行うこともある。

日本の情報関係者も舌を巻いた追尾技術

日本の関係者などによると、防諜活動の経験がある要員は情報収集についてさまざまな技術を有しており、日本の情報機関や朝鮮総連などの敵対勢力から監視されていることを、常に警戒しているという。

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ほかの要員に比べて、隠密裏に地を這うような動きに、ある情報関係者は「一般的な国情院の要員は、言わば大手の新聞記者。政治家や官僚に会って大所高所から記事を書くような動きをする一方で、防諜要員は週刊誌などで働くフリーライターのようなもの。表舞台に出ずにあちこちを嗅ぎまわってネタを見つけ、驚くようなスクープをつかんでくる」と言い表した。

国情院の尾行・監視チームの動きを見たことがある日本の情報関係者によると、チームは運転技術が特に高く、地理が不案内で車の進行方向も逆という環境の中でも、対象の車を見失うことなく追尾していったという。

この関係者は「渋滞の多い東京都内の道路では、我々でも5分以上追尾するのは至難の業。それを自然な形でやっていたので、相当訓練されていると感じた」と話す。

国情院には、日本について専門的に学んだ要員による「ジャパンスクール」が存在しており、海外情報や対共捜査などの所属部署に関係なく、一派を形成している。

ジャパンスクールの代表的なキャリアパスは、20代に語学留学、30代で初回の日本勤務をした後、その多くが複数回、日本で勤務する。

そのため、日本に駐在する国情院の要員はおしなべて日本語に堪能で、日本の情勢にも精通している。

佐藤 大介 共同通信 編集委員兼論説委員

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さとう だいすけ / Daisuke Sato

1972年、北海道生まれ。明治学院大学法学部卒業後、毎日新聞社を経て2002年に共同通信社に入社。韓国・延世大学に1年間の社命留学後、09年3月から11年末までソウル特派員。帰国後、特別報道室や経済部(経済産業省担当)などを経て、16年9月から20年5月までニューデリー特派員。21年5月より編集委員兼論説委員。著書に『韓国・国家情報院』『ルポ 死刑』(幻冬舎新書)、『13億人のトイレ~下から見た経済大国インド』(角川新書)などがある。
 

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