いわき信組には、優先出資証券の「信託受益権方式」により、震災特例の公的資金175億円が2012年1月に注入されている。同時に全国信用協同組合連合会(全信組連)も25億円を資本支援した。
仮に不正融資事件が引き金となって再構築型に進み、公的資金が棄損して国民負担が生じれば、この事件に対する世の中の関心は「不正融資」から、全信組連や金融当局の「指導・監督責任」に飛び火する。
不正調査の最中、公表されなかった資本支援
大きな節目とも言うべき公的資金の返済計画期限が近づく中、いわき信組に耳を疑うような″追加支援″がなされていた。
迂回融資などの不正が発覚し、いわき信組が第三者委員会を設置すると公表したのは2024年11月のこと。その後、第三者委による調査が終盤にさしかかった今年3月、全信組連からいわき信組に優先出資証券を引き受ける形で50億円の資本支援が行われていた。
全信組連は東洋経済の取材に対して出資の事実を認め、「しかるべき議論をしたうえでの判断」だとし、「(震災特例に伴う)特別経営強化計画の認定を控えており、いただいている公的資金を返済するために資本支援を行った」と説明する。
だが、全信組連のホームページを探しても、追加出資の発表は見当たらない。これについて、全信組連は「業界独自の資本支援であれば公表義務はない」とする。第三者委の調査報告書が公表されたのは5月30日だが、その2カ月前にひっそりと50億円の追加出資が行われていたわけだ。
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