路面電車と違う迫力「道路に乗り入れた列車」列伝 名鉄や新潟交通、京津線など「併用軌道」の記憶
モ510形は大正時代生まれながら、1967年12月の直通急行運転開始時に急行用として抜擢され、半流線形の車体や側面の楕円形の窓など大正時代らしさを感じさせる外観で、丸窓電車として親しまれていた。急カーブの徹明町交差点を、まるで車体を二分するかのように曲がる姿は迫力満点で多くのファンが訪れた。長良川を渡った忠節から先は、揖斐線を急行として高速で走りぬいた。


この後継車にあたるモ770形は路面電車スタイルの車両で、現在は福井鉄道に転じて同線の主力として活躍しているのは前述のとおりだ。
路面電車と一味違う迫力
最後に、現在も気軽に見られる「鉄道線の電車が路面を走る」路線を紹介したい。「江ノ電」こと江ノ島電鉄だ。
江ノ電はよく知られているとおり併用軌道の区間があり、鉄道か路面電車のどちらなのかと話題になることがあるが、法律からいえば現在は「鉄道」であり、路面電車=軌道ではない。ただし、開業時は軌道だった。
江ノ島―腰越間などで道路上を走る区間があるのは周知のとおりだが、七里ヶ浜付近や稲村ヶ崎付近に見られる、道路片側にバラスト軌道を敷設した区間も実は併用軌道である。昭和の雰囲気を残す建物が多く残る道路を行く江ノ電は、どこか懐かしさを感じていい雰囲気だ。

近年はLRTや超低床路面電車が注目を集め、本稿で紹介した福井鉄道でもえちぜん鉄道との直通は超低床電車が用いられているほか、広島電鉄では長編成の連接車が市内線と鉄道線の宮島線を直通している。そんな中、いわゆる「鉄道」の大型車両が路面を走る路線は減ってきたが、その光景には迫力と独特の魅力があるものだ。

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