路面電車と違う迫力「道路に乗り入れた列車」列伝 名鉄や新潟交通、京津線など「併用軌道」の記憶

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「電鉄」の顔だったのは前面2枚窓のモハ10形だ。自社の旧型車の下回りと小田急電鉄で廃車になった車両の車体を組み合わせて製造されたクハ45形が道路上を走る姿も迫力があった。車両の一部は地元住民による「かぼちゃ電車保存会」によって、かつての月潟駅で保存されている。

新潟交通電車線 併用軌道
新潟市内の路面を走っていた新潟交通電車線=1976年(撮影:南正時)
新潟交通 モハ10 燕駅
燕駅に停車するモハ10形。この電車が路面の併用軌道を走る姿は迫力があった(撮影:南正時)
【写真】県庁前(白山前)駅は風格のある駅舎と道路上の線路が特徴だった

筆者は映画「男はつらいよ 旅と女と寅次郎」(1983年・山田洋次監督)の新潟ロケで、寅さんが夕方の関屋駅近くの大衆食堂の暖簾を分けて外へ出た瞬間、雨上がりの寅さんとのツーショットでタイミングよく「かぼちゃ電車」が遠ざかるシーンが印象に残っている。

路上ではステップで乗り降りした福井

新潟交通の電車線は惜しくも姿を消してしまったが、日本海沿岸の都市には、現在も専用軌道の鉄道と併用軌道を直通運転する路線がある。北陸新幹線の敦賀延伸開業後、ますます好調に営業を続けている福井鉄道福武線だ。

福武線は越前市のたけふ新駅から福井市の田原町駅と、同市内の福井城址大名町駅から分岐して福井駅停留場までを結ぶ。全線21.5kmのうち、「軌道」の区間は赤十字前駅(旧南福井)付近にある「鉄軌分界点」(鉄道と軌道の境を示す)から田原町までの2.8kmの複線区間と、途中の福井城址大名町駅からスイッチバックして福井駅に至る0.6kmの単線、通称「ヒゲ線」である。道路上を走る併用軌道だ。

福井鉄道 福井市内 併用軌道
福井鉄道は福井市内に併用軌道の区間がある。現在は路面電車タイプの車両に替わったが、かつては鉄道線タイプの大型車両が路面を走っていた=1970年(撮影:南正時)
この記事の画像を見る(68枚)
次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事