驚くべきは、この挑戦を支援したのが、かつて香川で経営していたおもちゃ屋の常連客だった。夫妻が東京へ移住する直前、仕事を通じ20年以上ぶりに再会。「恩返しがしたい」とスポンサーを引き受けてくれた。「まさか当時の子供が、こんな形で力になってくれるとは思いもよりませんでした」(昌樹さん)
移住後3年で“大躍進”の経緯
法子さんがアーティストを目指す原点は、かつて目の前で見たゴッホの絵に圧倒された体験だった。「人を感動させる絵を描きたい。私も描かなきゃ」と心が震えたという。
若い頃にはパリで短期留学も経験。しかし香川に戻ってからは子育てに追われ、絵筆を取ることも封印していた。東京で再び絵を描き始め、プロアマ問わず出展できるデザインフェスタに参加したところ、そこで知り合ったギャラリストさんの勧めもあり海外のコンペに参加するように。
そしてコンペでの入選を果たすと、海外のギャラリーから声がかかるように。現在ではアメリカ(ニューヨーク、ロサンゼルス)、ハンガリー、スイス、UAEなど15カ国で作品が展示されるまでになっている。
「LAのギャラリーと契約できたことで道が開けました。私の絵の題名はいつも『存在』。これまで香川で押さえつけられて自由にできなかったからこそ、自分の存在を確かめたいという思いがありました。大変な思いをした30年間でしたが、東京でようやく花開いた感じがしました」(法子さん)

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