マツダはCO2を吸着するゼオライトを用いたCO2回収装置を、富士24時間レースにも出走したマツダ本社直轄で運営する「マツダスピリットレーシング 3 フューチャーコンセプト」に今後採用し、将来的には量産技術につなげていくというのだ。
エンジン性能開発部の上杉康範氏は「今シーズン中には実戦導入したい」と、車両後部に搭載する予定のCO2回収装置の画像を指差す。
課題は、背圧と温度の管理だという。

CO2回収装置が排気ガスの勢いを弱めてしまうため、CO2回収装置の内部構造を工夫して排気ガスの抜けをよくする必要がある。
温度については、ゼオライトのCO2吸着効果が得られる30〜50℃に調整しなければならない。
量産車の場合、排ガスの温度は100〜200℃程度だが、レースマシンでは700℃まで上昇するため、CO2回収装置で温度を一気に冷やす。
また、吸着したCO2は150℃程度で離脱する。
つまり、CO2回収装置内の温度コントロールをうまく制御すれば、ゼオライトから離脱したCO2を専用タンクなどで集めることが可能となるのだ。
そうなれば、クルマで走行して集めたCO2と、太陽光など再生可能エネルギー由来の水素とで合成燃料(e-Fuel)を生成するというサイクルが理論上、成り立つことになる。

または、自動車メーカーが自動車販売店を通じてCO2を回収し、それを販売して利益を出すことも考えられる。
実用化まであと十数年か?
では、CO2回収が事業化されるのはいつごろか?
この点について、ENEOSが将来構想を図表化して示した。
それによると、カーボンニュートラル燃料の活用は2030年代に拡大し、CO2回収などは2040年代に入ってから実用化されるイメージだ。
これは、今回の富士24時間レースの決勝スタート前にEXEOS、トヨタ、マツダ、スバル、そして日産が共同記者会見を開き、エタノール20%含有のバイオ燃料(E20)を供給することを明らかにしたもの。
その中で、国が進めようとしているガソリンのカーボンニュートラル化について説明した。
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