その説明によると、現状では「ほぼ化石燃料」だが、移行期の第1段階ではバイオ燃料の割合を増やし、第2段階から合成燃料を強化。
将来的には、EV(電気自動車)やFCEV(燃料電池車)の普及が進む中で内燃機関向けの液体燃料は合成燃料が主流となり、それをバイオ燃料が支える形を目指すという。

課題は、バイオエタノールの原料の確保とそれに伴うE20のコストだ。
バイオエタノールについては現在、とうもろこし(アメリカ)やサトウキビ(ブラジル)など植物資源が主流だが、これは農業政策の一環でもある。
日本では、農産物からバイオエタノールを精製する量は限定的であるため、草本や古紙などのセルロースを原料とすることを想定している。
こうして出来あがったE20のコストは、量産効果が生まれるまで通常ガソリンよりも高額になる可能性が高い。
これを消費者がどう捉えるのか。地球環境に配慮した液体燃料を使う意義を重視するのか、それとも日常コスト最優先で考えるのかが問われるところだ。
なお、地球環境を意識した新しい液体燃料の事例としては、ヨーロッパで実用化されているHVO(再生可能ディーゼル)がある。
廃食油など廃棄物由来の原料から精製する燃料で、石油由来よりもトータルでCO2削減できることが実証済みだ。
マツダは、スーパー耐久シリーズでこのHVOを使用し、それを量産技術へと結びつけた実績がある。

カーボンニュートラルの一歩先へ
カーボンニュートラルに対して、日本の自動車産業はこれまで世界を牽引し、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、EV、FCEV(燃料電池車)、水素燃料車などによる「マルチパスウェイ」を推進してきた。
そこに燃料関連産業がタッグを組むことで、カーボンニュートラルの一歩先となる、カーボンネガティブという発想が生まれた。

むろん、クルマの製造や燃料の精製の過程で生じるCO2総量を的確に算出することは難しいが、それでもクルマに関わる人々が、事業と地球環境との良きバランスを懸命に探そうとしている姿勢は評価するべきだと思う。
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