「老後なんてまだ先のことでしょ」と定年になってから「老い」を考え始めるのでは遅すぎる納得理由

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*病気よりも健康 エバーグリーンの課題においては、“よりよく老いる”という考え方をできる限り前進させたほうがよさそうだ。ネガティブな要素だけでなく、ポジティブな要素にも目を向けるべきだということである。

究極の目標は、「ゆっくりと」の段階を“非常にゆっくりとしか進まない”ようにし、健康の悪化を防ぐことにあるそうだ。ただし、これはずいぶん回りくどい表現ではある。そこで、「エバーグリーンの課題とはより長く健康を維持することである」と定義したほうがいいようだ。

私たちは老化を自然なプロセスであると見なす結果、健康と老化の間に境界線を引いて考えがちだ。しかし本当に必要なのは、老化そのものに目を向け、それを健康に関わるものと位置づけることなのだ。

心理学者のマーティン・セリグマンとミハイ・チクセントミハイは、心理学が精神疾患にばかり目を向けてきたことを批判して有名になった。精神のウェルビーイングの維持と向上を目指し、ポジティブな心理学をもっと重視すべきだと訴えたのである。エバーグリーンの課題に取り組むうえでは、医療システムも同様の考え方を取り入れるべきだ。健康とは、単に病気が存在しない状態ではないのだから。(82ページより)

よりよい老い方を目指すうえで重視すべきことのひとつは、寿命が長くなって増えた人生の日々を最大限活用すること。そしてそれを実現するためには、(もちろん加齢に伴う病気と闘うことも不可欠だが)人生のあらゆる時期に、健康、生きがい、社会との関わりを高めることだというわけである。

*不平等 「人がどのように老いるか」は、社会における格差の影響を受けざるを得ないようだ。所得レベルや教育レベルが低い人にとって、老化はけっして「ゆっくりと」進むものではないというのだ。エバーグリーン型の社会を目指すのであれば、そうした不平等は解消する必要がある。

よりよい老い方をするためにできること

結局のところ、エバーグリーン型の生き方はどのような結論に行き着くのか。著者いわく、それは以下の三段論法によって導きだせるそうだ。

前提1――私は高齢になるまで生きる可能性が高い。
前提2――長生きすることに関する最大の不安は、ひどい老い方をすることである。
エバーグリーン型の結論――よい老い方をできる可能性を最大限高めるために、いまできることをするべきである。(84ページより)
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