「老後なんてまだ先のことでしょ」と定年になってから「老い」を考え始めるのでは遅すぎる納得理由

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つまり計算手段として便利な暦年齢は、エバーグリーン的な観点からすれば、老いについて考える際の有益な方法ではないのである。暦年齢よりも、死生学的年齢と生物学的年齢を重んじるべきなのだ。

*生涯を通じて 「突然に」の段階に入ってしまうと、老化と闘うことは非常に困難だ。そこで、「ゆっくりと」の段階を長く延ばすことに力を注がなくてはならない。健康状態が悪化してからではなく、もっと若いときから“健康に老いる”ことについて考えておくべきだということである。

端的に言えば、あとで治療することよりも、早い段階で予防することに、もっと関心を払う必要がある。(80ページより)

60代になってから老いを考えるのは遅すぎる

*再帰的なプロセス 老化は再帰的なプロセスであり、“いま取る行動”が未来の自分に影響を及ぼす。60代でよい老い方をしたいなら、良好な健康状態で60歳を迎えるほうがいい。そして60歳の時点でどのような健康状態でいるかは、どのような50代を送るかにかかっている。さらに50代での健康状態はどのような40代を送るかに強く影響され、40代での健康状態は……という具合。

イギリスの公務員1万人を対象にした研究によると、多疾患併存(高血圧や糖尿病など、危険を及ぼす可能性のある病気を複数患っている状態)をはじめて経験した時期が若い人ほど、将来に認知症を発症するリスクが高いという。この種の病気の発症を5年遅らせるごとに、認知症の発症率が18%低くなる。60代になってから老いについて考え始めるのでは遅すぎるのだ。(80〜81ページより)

*平均より上の健康 老化が“健康状態がゆっくり低下していくこと”を意味するのだとすれば、未来の自分のために高いレベルの健康状態を確保するに越したことはない。50代のときには、目先のことだけを考えれば平均レベルの健康状態でも問題ないかもしれない。だが将来のことを考えると、“飛び抜けて健康状態のよい50代”でいたほうがいい。

エバーグリーンの課題を達成するためには、あらゆる年齢で健康を重んじるべきだ。逆説的に聞こえるかもしれないが、長寿化の時代には、若い時期の健康がいっそう重要になるのだ。(81ページより)
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