とくに多いのは新聞やチラシなどの紙類。地層のように踏み固められた底からは20年以上前の新聞も出てきた。同居人がいたころから、散らかり始めていたようだった。
「この汚れは10年じゃきかないですね。おそらく入居してから一度も掃除をしていないはずです」
現場に入っていたイーブイ代表の二見文直氏(以下、二見氏)は、浴室の状態を見てそう話した。
床、壁、湯船、すべてが墨汁をまき散らしたかのような黒カビで覆われている。正直、こんなひどい汚れの風呂場を見たのは初めてだが、ゴミ屋敷の現場ではよくある光景なのだという。

「風呂場に生活ゴミが溜まって排水ができない状態の中、シャワーを浴びている方もいます。“ここで毛引きちぎられたんか”って思うくらい髪の毛が溜まっていることもあります。でも、どんな汚れでも落ちないことはないんです。期待して待っていてください」(二見氏)
まずは水とブラシで擦り洗いをして、表面のカビを取り除く。その後に洗剤をかけて残った汚れを浮かし、再度擦り洗いをする。すると、わずか30分で新居と見違えるほど綺麗な浴室に生まれ変わった。


浴室が真っ黒になるまで放置してしまう理由
しかし、どうしてこんな状態になるまで放置してしまうのだろうか。親族や配偶者の死、職場のストレスによるうつ病など、精神的な問題からゴミ屋敷になってしまうケースも多いが、原因はそれだけではない。
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