とてもベストな案とは思えない…岸博幸が語る、自公立による拙速な「年金改正法案」の成立に《コウロウ真理教》が奔走した背景

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「コウロウ真理教」は「ザイム真理教」ほどレベルが高くないという(写真:soraneko/PIXTA)
自民・公明・立民の賛成により今国会で成立した年金改革法案。各所から拙速との批判が相次いでいますが、経済評論家の岸博幸氏によれば、その背後には「コウロウ真理教=厚生労働省の官僚」の身勝手な論理が働いていたといいます。
本来、政策の選択肢を公平かつ客観的に示すべき官僚が、なぜ国民よりも自分たちにとって都合のいい政策を押し通してしまうのか。その背景について、岸氏の著書『ザイム真理教と霞が関の真実 余命8年の元官僚が命を賭ける日本再生の処方箋』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

なぜ厚労省は"ベストとは思えない案"を選んだのか

年金制度改革については当然ながら複数の解決案が存在するのだが、なぜ厚労省は厚生年金の積立金を流用するという、普通に考えてベストとは思えない案のみを提示して突っ走ったのだろうか。

第3号被保険者である専業主婦(夫)の特権を剥奪したり、年金支給開始年齢を引き上げるというのは、国民の多くの反発を招く可能性が大きいので、利害調整が大変だし、与党の政治家を納得させるのも困難と考えたのではないだろうか。

そして、国民年金を最低保障年金に再構築する案に至っては、厚労省にとっては論外のはずである。年金という巨大な権限と予算を財務省に取られてしまうことになり、年金関連の組織への天下りにも影響するからだ。

だからこそ、かつて年金保険料の未納問題が喧伝されたとき、社会保険庁(現・日本年金機構)を国税庁に統合するという案が議論されたが、厚労省はこれに徹底的に反対した。

次ページかつての民主党政権時代にも
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事