とは言え、従業員の全員が、りゅう社長と同じくらい、清潔さへの意識が最初から高いわけではなかった。そこで、りゅう社長は従業員との基準合わせに時間を使った。
例えば、従業員と旅に出て自分たちの飲食ビジネスのビジョンを話し合い、基準値を合わせていった。普段から飲食店視察を繰り返し、お客様目線を常に大事にし、清掃やサービスが行き届いていないお店を反面教師にして、店づくりに生かしていった。
さらに、りゅう社長は現場を放置せず、定期的にチェックし、基準からズレていたら都度説明をして理解してもらう。怒るだけではダメで、目線を合わせることが大事だ。すべては経営者と社員の基準を合わせるためだ。
りゅう社長が従業員に説明するのによく使うのが“車理論”だ。
「自分の高級車を汚く乗り回すのは嫌じゃないか?」と問うと、大抵は「嫌です」と答える。大切な高級車を預かった気持ちで、常に高級車をかっこよく乗り回している感覚で、お店も最高に綺麗に乗り回してもらいたいとお願いするのだ。すると、従業員も自ずとやらなければいけないマインドになるのだという。
「こういったことはセンスや経験は関係なくて、誰でもできることです。この文化を広げないといいお店はできないと思っています。
どんなに好調でも物は大事にする。これを習慣化する。毎日やる。その結果売り上げが上がっていけば従業員も増え、さらに掃除ができるようになり、好循環になっていきます」(りゅう社長)
目指すのは「360度かっこいい店舗創り」

りゅう社長が目指すのは「360度かっこいい店舗創り」。お客さんに見える部分だけではなくすべてをきちんと整えることを徹底している。採用の面談でもここについては強く話している。
「飲食店はチームの軸を作ってこそ強くなります。軸さえしっかり作れれば、あとはやるべきことをスポンジのように吸収していけます。
根っこがしっかりしているからこそ粘り強いよいチームが作れるんです」(りゅう社長)
りゅう社長はお店や自分の顔が有名になることに走らず、経営の土台をしっかり作ってこそ飲食店運営が成り立つということを強く意識している。
普段のSNSでしかりゅう社長を見ていない人にとっては意外だったかもしれないが、こういった土台作りの上にりゅう社長の話題性が乗っかっていることを、筆者としては伝えたいものだ。

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