東京・東銀座にある歌舞伎座や京都の南座に代表されるように、歌舞伎界の頂点ともいえるきらびやかな世界を演出する舞台はもちろんのこと、京都・祇園の花街にある歌舞練場や、芝居小屋でのシーンが特に印象的です。


ロケ地にもなった近畿地方最古の「芝居小屋」
そんな『国宝』の重要なシーンでロケ地として登場したのが、兵庫県豊岡市の出石(いずし)にある「出石永楽館」です。
出石は、「但馬の小京都」と呼ばれ、明治以降も鉄道が通っていないこともあって、古い街並みがそのまま保存されている町です。その中で、永楽館は近畿地方最古の芝居小屋と呼ばれ、文化財でありながら現役の芝居小屋を貫き、「使える文化財」として現在も活用されています。


1901年に開館以来、昭和の時代の文化発信拠点として発展しましたが、さまざまな競合する娯楽が登場したことで時代の波に逆らえず、1964年に一度閉館しました。
その後、建物はしばらくそのままの状態となっていましたが、地域の保存運動が功を奏し、旧出石町が豊岡市に合併され、新生豊岡市となったことを機に、2008年に芝居小屋として復活を遂げました。
復活時の公演は片岡愛之助さんが座頭を務め、以降毎年「永楽館歌舞伎」として開催されています。また、落語からクラシック音楽まで、多くの催し物が開催されていることも特徴の1つです。
今回、『国宝』のロケ地となったということで、永楽館や豊岡市役所では、期間限定で、作中に使用された提灯など、小道具を展示しています。


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