【獣医師死亡】マダニで広がる感染症SFTSの怖さ――致死率は10〜30%、感染した飼いネコからうつることも《医師が教える予防法と対策》

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こうした日ごろの工夫によって、ダニにかまれるリスクを大きく減らすことができます(※外部配信先ではイラストを閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください。

温暖化でマダニの生息地が拡大

地球温暖化は、SFTSVの広がりに影響していると考えられています。

SFTSを媒介するマダニは暖かく湿った環境を好みます。温暖化によって気温が上昇すると、マダニの生息できる範囲が北へと広がるようになります。以前は見られなかった中部地方や関東地方でも、SFTSVを持つマダニが確認されています。

さらに、気温が高いとマダニの活動期間が長くなります。かつては春から秋にかけての季節性のリスクとされていましたが、最近では冬場にも活動するケースが見られ、人や動物がマダニにかまれるリスクが1年中続くようになっています。

野生動物の行動範囲も温暖化によって変化しています。シカやイノシシといった野生動物が人里近くまで出没するようになり、マダニやSFTSVを人間の生活圏へ持ち込むリスクが高まっています。

そして、温暖化によって野外活動や農作業の期間も長くなるため、人間がマダニのいる環境に足を踏み入れる機会が増えています。

これらの要因が重なることで、SFTSを含むダニ媒介性感染症の感染リスクは確実に高まっているのです。

久住 英二 立川パークスクリニック院長

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くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科専門医、血液専門医であり、旅行医学やワクチンに関する造詣が深い。国家公務員共済組合連合会虎の門病院で内科研修ののち、臍帯血移植など血液がんの治療に従事。血液内科医としての経験から感染症やワクチンにも詳しく、常に最新情報を集め、海外での感染症にも詳しい。2024年12月に立川高島屋SC10階に内科、小児科、皮膚科の複合クリニック「立川パークスクリニック」を開業した。

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