ノーベル経済学賞受賞者スティグリッツは、いまトランプ政権をどう見ているのか

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

またさらに深刻なのは、その封建主義が民主主義から(選挙の結果として)出てきている、という事実である。

自由市場からオリガーキーが生まれ、自由を奪う。
民主主義から封建主義が生じ、民主制を封じる。

経済と政治の両面でこのような相似形の皮肉が起きている。いま世界中の自由主義陣営が直面していることではあるが、アメリカはその最前線に立っているという自覚をスティグリッツは強烈に持っているのではないか。氏の言葉の端々からそれが感じられる。

スティグリッツの処方箋

「21世紀の封建主義」から「文字通りの封建主義」へと向かうアメリカを見て、ではスティグリッツは理論家として、実務家としてどう対処すべきだと思っているのか。

もし封建主義化が現制度での必然であるならば、より本質的な自由を将来にわたって確保すべく諸制度を改革し、資本主義を鍛え直し進歩させ、理性と対話をもって分断を乗り越えるべきではないか。

見えにくい、あるいは明確な封建主義が蔓延しているならば、再び「本当の自由」の理念をもって世界を照らし、打ち破ればよい。いまその時が来ているのではないか。

そのための詳細な処方箋であり革命の書が『スティグリッツ 資本主義と自由』なのだろうと私は思う。

佐々木 一寿 経済評論家、作家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ささき かずとし / Kazutoshi Sasaki

横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業、大手メディアグループの経済系・報道系記者・編集者、ビジネス・スクール研究員/出版局編集委員、民間企業研究所にて経済学、経営学、社会学、心理学、行動科学の研究に従事。著書に『経済学的にありえない。』(日本経済新聞出版社刊)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事