またさらに深刻なのは、その封建主義が民主主義から(選挙の結果として)出てきている、という事実である。
経済と政治の両面でこのような相似形の皮肉が起きている。いま世界中の自由主義陣営が直面していることではあるが、アメリカはその最前線に立っているという自覚をスティグリッツは強烈に持っているのではないか。氏の言葉の端々からそれが感じられる。
スティグリッツの処方箋
「21世紀の封建主義」から「文字通りの封建主義」へと向かうアメリカを見て、ではスティグリッツは理論家として、実務家としてどう対処すべきだと思っているのか。
もし封建主義化が現制度での必然であるならば、より本質的な自由を将来にわたって確保すべく諸制度を改革し、資本主義を鍛え直し進歩させ、理性と対話をもって分断を乗り越えるべきではないか。
見えにくい、あるいは明確な封建主義が蔓延しているならば、再び「本当の自由」の理念をもって世界を照らし、打ち破ればよい。いまその時が来ているのではないか。
そのための詳細な処方箋であり革命の書が『スティグリッツ 資本主義と自由』なのだろうと私は思う。
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