新鋭の動画配信サービス“Kick”で「迷惑系配信者」が目立つ理由 5時間配信で《収益250万円》も?「迷惑かけても目立てばいい」の弊害とは
2025年2月には、さっぽろ雪まつりで生配信をしていたイギリス国籍の男が、会場スタッフの顔面に雪玉をぶつけ、警察官が呼ばれる騒ぎとなった。この時も利用されていたのはKickだ。北海道警察は3月に男に対する刑事告発状を受理している。
男は1月にも大阪の民泊らしき客室で、客室の隅に突然放尿し、同室の男性が怒り出すという内容の動画を配信していた。現在は男のアカウントは利用停止処分となっているが、Kickにはこのような悪質な迷惑動画配信者が目立つ事態となっている。
アテンションエコノミーのなれの果て
Kickにもガイドラインは存在する。
「配信する場所の法律を順守し、公共の秩序を著しく乱すことを避けること」を求め、違反した場合はコンテンツの削除やアカウント凍結などの措置を取るとしている。しかし、実際には注目を集められればどんな動画でも通ってしまっており、ガイドラインが順守されているとは言えない状態だ。
インプレッションさえ集められれば収益が得られる場は、迷惑動画配信者の温床となってしまいがちだ。過激な迷惑投稿やデマやコピペ投稿があふれかえり、信頼できる場ではなくなってしまう。

X(旧Twitter)は、2023年7月より、(1)フォロワー数が500人以上、(2)3カ月以内のインプレッション数が500万件以上、などの条件を満たすと収益化ができるプログラムを開始。
インプレッションさえ集められれば稼げるとあり、バズ投稿のコピペ投稿や、インフルエンサーに意味のないメンションをするユーザーが相次ぐ事態となってしまった。
その結果、広告収益を目的とする「インプレゾンビ」だらけとなり、能登半島地震が起きた際にはコピペやデマ投稿であふれかえっていた。日本語の救助要請を、日本語を母国語としないユーザーが意味もわからずコピペ投稿する、実在しない住所での救助要請が飛び交う……という混沌とした事態となっていたのだ。
ところが2024年11月より、ただのインプレッションではなく、プレミアム会員からの返信や「いいね」などの数に応じて収益を分配する方式に変更したことで、状況は落ち着いた。しかし対処が遅かったのか、Xの人気は陰り気味で、ユーザー離れが進んでいる。
アテンションエコノミーの行き着く先は、プラットフォームの衰退だ。プラットフォーム側には、インプレッションだけではなく、法を順守したうえで一定の質のコンテンツを求める姿勢が必要ではないだろうか。
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