「結構重い処分だよね?」「クビにならなかっただけマシ」と処分の内容に賛否…フジテレビが元編成部長B氏を《クビにしなかった》理由
だが、事件当日のトラブルに間接的には関わっていたのではないか、と問題視する声は根強い。
その1つが、女性社員へ見舞金を届けようとしたことと中居氏に弁護士を紹介したことだ。中居氏が女性に何をしたのかを知っているからこそ、入院中の女性社員に見舞金を渡そうとしたり、弁護士を紹介したりしたのではないかと見るものだ。
同社は「懲戒処分等について」で、「(元編成部長は被害を受けた)女性が直属上司に、中居氏から被害を受けたと申告しているのを把握していなかった」としている。あるいは、「病状の程度及び心情等を認識していなかった」とも記載した。
そして「上記各行為(前述の(1)~(3))に退職勧告や懲戒解雇を科すことが相当とされる事情は認められなかった」と述べた。
和泉氏は「元編成部長の認識にまで踏み込んだ形での事実認定は大変に難しい」と語る。
「元編成部長が、『中居さんがそのようなことをするなんて信じられない。自分は当日、何があったのかを聞かされていないから知らない』と答えたとする。それを覆すだけの証拠を同社や第三者委員会、同社側の弁護士が持っていないならば、裁判では元編成部長の主張を崩し切るだけの立証ができず、懲戒処分が不当との結論が導かれる危険性がある。
同社が元編成部長の認識にまで踏み込んで解雇や退職勧告を行おうとするのであれば、私が会社側の弁護士ならば賛成はしない。リスクがあまりにも大きいためだ。
それでも懲戒処分にした理由の1つは、元編成部長が事件当日以降、一貫して加害者である中居氏側に立っていると周囲から認識されるような行動をとったからだろう。調査報告書に記載された『二次加害行為』である。
現状、『二次加害行為』が懲戒理由となるケースはまだまだ珍しく、『二次加害行為』が被害者に与えるダメージも社会で広く認知されているとまでは言えない。しかし、これを機に『二次加害行為』を理由とする懲戒処分が広く用いられるようになっていくのであれば、今回の懲戒処分にも一定の社会的意義を認めることができる」
大津氏はこう見る。
「第三者委員会の調査報告書において本人が当日のことは知らなかったという結論になっている以上、それをもとに処分を決めることになる。『実は知っていたはず。そのうえで見舞金を渡し、弁護士を紹介したのでは』といった臆測で決めるものではない」

なぜショートメールを削除したのか
元編成部長の行為を問題視する声は、もう1つある。前述の「懲戒処分等について」には記載されていないが、調査報告書では編成部長が中居氏らとやりとりしたショートメールなどを削除していたことも判明した。
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