「結構重い処分だよね?」「クビにならなかっただけマシ」と処分の内容に賛否…フジテレビが元編成部長B氏を《クビにしなかった》理由

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(1)中居氏から依頼を受け、入院中の女性社員に見舞金を渡そうとしたことや、フジテレビが前々から継続し、法律相談をしてきた弁護士を中居氏に紹介したこと。
(2)ホテルの部屋での出演者と女性社員などが参加する会食で出演者から女性社員ら2人のみを残し、退出するよう働きかけられた時、社員の中で最も職位が高かったにもかかわらず、その働きかけを止めずに退出。部屋に残った女性社員らが出演者からハラスメント行為を受けた。
(3)出演者との会食の際、女性社員を誘い、女性社員を残し、その場を離れる。女性社員は別の店に移動したところ、出演者からハラスメント行為を受けた。
(4)後輩の女性社員へのハラスメント行為。

上記(1)〜(3)を就業規則に違反する「非違行為」ととらえ、降職(4段階)とする。(4)も「非違行為」で懲戒休職(1カ月間)とした。

ちなみに同社の懲戒処分は、重いものから懲戒解雇、退職勧告、降職または役位剥奪、懲戒休職、謹慎、減給、けん責、戒告としている。

決して「甘い処分」ではない

弁護士の和泉貴士氏は「降職は退職勧告の次に重い処分であり、しかも4等級下にまで下げる。これは決して甘くはなく、それ相応に厳しいもの」ととらえる。

和泉氏は同社が懲戒解雇にしなかった大きな理由は、第三者委員会が3月31日発表の調査報告書で「中居氏が女性Aを本事案の会合に誘った行為に、B氏やCX社員が関与した事実は認められなかった」と認定していることを挙げる。

さらに同氏は、2024年12月、事件が報道で発覚した当初は同社内で懲戒解雇を検討した可能性もあると語る。

「社員が深刻な事件に加害者として関わった場合、企業が社員を懲戒解雇にして早期の幕引きを図ることは珍しくない。ただし、解雇を行った場合、その社員が不当解雇だと裁判に訴えれば企業が敗訴する可能性がある。

日本の裁判では解雇権濫用法理が採用されており、労使が解雇で争う場合、解雇の客観的合理性と社会通念上相当であることを企業の側が立証しなければならない。企業が立証に失敗した場合には、判決で解雇無効と判断され、企業がさらなる社会的批判に晒されるリスクも生じる」

そのため、今回のような世間の注目を浴びる社会問題となった事件について、同社は解雇という形での幕引きはできなかった。

そこで調査や審議を繰り返しつつ、懲戒解雇、退職勧告に次ぐ重い処分を検討するようになったのではないか、ととらえる。

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