「なぜ、競争の厳しい家電市場に参入?」家具のニトリがドラム式洗濯乾燥機を販売する深い事情
消費者にとって大型家具は年に何回買うかどうかであり、普通は家具店に頻繁に行く用がない。しかし、ニトリはコスパの高いインテリア雑貨(キッチン、バス、トイレ、寝具など家周りのさまざまな雑貨類)が豊富に品揃えされているため、月に何回も来てもらうことができた。
この雑貨類は女性客の人気が高いため、特に購買決定の実権者である女性の来店頻度と親近感を高めるのに効果があった。ニトリの大型店に入ると、1Fインテリア雑貨、2F家具となっていることはご存じかもしれないが、この1Fがあるから、ニトリは女性客に何度も来てもらえる店になり、結果、コスパの高い家具も売っている店として広く認知されたのである。
そしてニトリは、この手法を家電販売においても応用しようとしている。
変化する家電の選び方
かつて家電製品の買い方のスタンダードなやり方は、欲しい商品の様々なメーカーの機能、仕様、クチコミ等を複数比較しながら、価格の現況を加味して機種を絞り込み、さらに複数の家電量販店で価格交渉をしながら購入する小売店を決める、といったやり方だったように思う。要は機能性を軸としてコスパで判断してメーカーや購入店を決めるというものである。
しかし、家電製品を選ぶ要素は機能性だけではなく、デザインや使い勝手(機能が絞り込まれていて簡単に使える)がいいことも大事だろう。特にニトリユーザーはコスパのいいシンプルなデザインの雑貨類を評価する女性客が多く来店している。求める機能があってシンプルなデザインでコスパがいいものなら、多様な機能性を誇り、相応の値段がする国内メーカー品でなくてもいいという人は相当数いる。ニトリは自社ユーザーのニーズに合わせた「ちょうどいい家電」を提供することにチャレンジしているのである。
これまで家電製品は国内大手電機メーカーへのブランド信仰が強く、いくつかの大手メーカー製品から機能性で選択し、その商品を安く提供してくれる量販店を選んで買うものだった。中小メーカーの廉価版的な製品はこれまでも作られてきたが、消費者の品質へのブランド信仰もあり、安くても主流にはならなかった。
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