「見事なテクノロジーによる伝統の継承の可能性」──アップルCEOティム・クック氏が讃えた日本人開発者が取り組むアプリによる問題解決

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今回の2025年のSwift Student Challengeにおいて、アプリ『Hanafuda Tactics』で「Distinguished Winner」(優秀受賞者)を受賞した濱本太輝氏に、Apple Parkで話を聞いた。

濱本太輝
Apple Parkでインタビューに応える濱本太輝氏。現在は熊本県立大学デジタルイノベーション推進センターで、テクノロジーによる問題解決に取り組む(筆者撮影)

濱本太輝氏は、3月まで熊本県立大学総合管理学部の学生で、現在は同大学デジタルイノベーション推進センターに所属している。今回のSwift Student Challengeに応募した時点では学生だった。濱本氏が経験したのは、アプリ開発コンテストとは異なるものだったという。

「Swift Student Challengeは、単に技術的なスキルを競うわけではなく、アイデアそのものや、自分が取り組んだことをエッセイできちんと表現できるか、といったアプリ以外の部分も評価されます。また、どのような課題を解決しようとしているのか? という目的意識なども、かなり審査に左右されます」(濱本氏)

また、このチャレンジのもう一つの特徴は、Appleデバイスで動作するものに限られ、特にiPadもしくはMacのどちらかで動作するアプリでなければならないという制約もある。

そして、必然的に、この取り組みのタイトルにも入っている「Swift」というアップルの開発言語を使うことが求められる。

「花札」アプリにティム・クックCEOも絶賛

Swift Student Challenge
2025年5月に発表されたSwift Student ChallengeのDistinguished Winner。現実世界の問題を掘り下げて、持続的な変化を促すプログラミングの力を実証した、として表彰された(写真:アップル)

今回、濱本氏が開発したのは、日本のカードゲームである花札をモチーフにしたアプリだった。

日本文化の定番ともいえる花札のルールを知っている人がほとんどいないことに目をつけ、日本人だけでなく世界中の人が花札を楽しめるようにできれば、とアプリを開発した。

「ルールが難しいことがネックで、なかなかプレーできないという人がまわりに多かったのです。どうにかルールが難しい問題を解決すれば、花札に触れる機会を作れるんじゃないかという風に考えました」(濱本氏)

実は、今回のSwift Student Challengeへの挑戦は、濱本氏にとって3度目の挑戦だったという。過去2回の挑戦で悔しい思いをしたものの、諦めずに自分が課題に思っていることへのアプローチを考え続けた結果が今回の受賞につながったそうだ。

「1回目と2回目、悔しい思いをしたのですが、何が自分の課題なのか? 考えてきました。そのアイデアを提出した結果、今回受賞することができました。諦めなかったからこそ得られたものだと思っています」(濱本氏)

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