コンサル主導会社が迷走、「優等生」流山市も喰われた。地元の人しか知らない不都合な真実

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流山市市役所の外観
マーケティング戦略に力を注ぐ流山市(写真:筆者撮影)
コンサル会社が地方創生を掲げながら自治体を喰い物にしている実態に迫った特集「喰われる自治体」から1年。寄せられた告発を基に第2弾を展開する。『週刊東洋経済』6月21日号の第1特集は「喰われる自治体  ―告発―」だ。
週刊東洋経済 2025年6/21号(喰われる自治体 ー告発ー)[雑誌]
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千葉県流山市は人口増加率が高く、住みたい街ランキングなどではつねに上位にランクインする「優等生」都市だ。保育園の数も増やしてきたことから子育て世代にも人気である。

「市政は経営」という理念を掲げる井崎義治市長は、全国に先駆けてマーケティング課を市役所内に設置するなど「流山市発展の立役者」として高い評価を得てきた。

2023年の市長選で6選を果たし、外から見ると順風満帆に映る井崎市長だが、足元の流山市における観光政策で苦戦を強いられてきた事実はあまり知られていない。地元には井崎市長が誇る「マーケティング力」を疑問視する向きがある。

市長肝煎りの三セクが経営不振に

千葉日報は24年5月、流山市にある第三セクターの経営状況に関して、次のように報じた。

「流山市の観光振興のため市が筆頭株主となり2020年に設立した第3セクター『流山ツーリズムデザイン』(NTD)が経営不振で約4800万円の債務を抱え、社長が交代する事態となっている」

市長の肝煎りで設立された三セク会社が経営不振に陥り、社長の首がすげ替えられていたという。

NTDが設立されるまでの経緯を振り返る。

流山市内から東京・秋葉原までを約20分で結ぶ「つくばエクスプレス(TX)」が05年に開通し、同市の東部は交通の便が飛躍的に向上した。都市開発が進み、子育て世代が移住して人口が増えた。だが、全国で注目されるほどの発展を遂げた市の東部とは対照的に、市の西部にある流山本町は取り残された。近年は高齢化と人口減に悩まされている。

創業100年超の老舗が多く、観光資源は豊富な流山本町だが、ネックになっているのが交通の便だ。流山本町から都心へ向かう鉄道は、単線のローカル路線「流鉄流山線」のみ。TX沿線で暮らす子育て世代の目には「住みにくい地域」と映ってしまっている。

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