コンサル主導会社が迷走、「優等生」流山市も喰われた。地元の人しか知らない不都合な真実

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白みりんミュージアム。NTDの業績は改善しつつあるが公的資金も入る(写真:筆者撮影)

銀行借り入れとは異なり助成金には返済義務がない。NTDは公的資金に支えられている側面が強く、オーガニックにビジネスで成功しているとは言いがたい状況だ。

市が流山本町の観光推進を掲げるのはNTDが初めてではない。12年にも、大正12年建築の足袋販売店を改装したイタリアンレストランとベーカリーをオープンさせた。市の補助金を得て経営を始めたのは茨城県に本社を構える民間企業で、オープン当初は「流山本町の新名所になる」と期待が寄せられた。しかし、期待されたほどの売り上げは立たず、運営会社は撤退した。

井崎市政の評価が二分

こうしたことが続き、流山本町では井崎市政の評価が二分している。住民からは「現在の流山の発展は、歴代市長の基盤があるから。井崎市長は宣伝がうまいだけ」という手厳しい声もある。

井崎市長がメディアでもてはやされる際は、たいてい「流山おおたかの森地区」をはじめとするTX沿線部の開発がらみだ。確かにTXの開業は井崎市長就任後だが、流山への誘致が決まったのは40年も前のことだ。

現在はショッピングモールやマンションが立ち並ぶ「流山おおたかの森地区」の開発も、流山市からUR都市機構へ事業要請があったのは1991年。土地区画整備事業が始まったのは00年で、汗をかいたのは前々市政と前市政だ。

この地域の開発を後押ししているのはTXだ。流山市以外でもTX沿線の埼玉県八潮市や同県三郷市、千葉県柏市、茨城県つくば市では人口が増加している。ある流山市民は「マーケティング力だけで街が発展するならば、流山本町の観光事業も成功するはずだ」とこぼしている。

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鈴木 貫太郎 ジャーナリスト

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すずき・かんたろう / Kantaro Suzuki

1981年生まれ。東京電力退社後、米オハイオ州の大学を卒業。早稲田大学ジャーナリズム大学院修了。米ニューヨーク・タイムズ東京支局、フィリピンの邦字新聞を経てフリーに。著書に『ルポ 日本の土葬――99.97%の遺体が火葬されるこの国の0.03%の世界』。

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