老化の「突然に」の段階で問題が発生することを避けるためには、社会全体として予防医療の啓蒙活動をおこなうこと、そして、ひとりひとりのレベルでは、個人のエバーグリーン(つねにあらゆる局面で新鮮さを失わない)戦略の一環として自分の健康状態をモニタリングすることが重要だ。
毎年健康診断を受けたり、血圧や心拍数や血糖値を定期的に測定したり、しこりの有無をチェックしたり、デジタル機器やアプリを使って健康状態に関するデータを記録したりすればいいだろう。
方法はどうあれ、自分の健康に気を配ることは、エバーグリーン型の世界で生きるうえで欠かせないことなのだ。
運動は認知症の発症も減らす
エバーグリーンの課題を追求するうえで、これと同じくらい重要なのが運動だ。エクササイズを習慣にすることの恩恵は計り知れない。よりよい老い方をするために運動がいかに重要かは、どんなに強調しても強調し足りない。
高齢になったときにバランス能力と移動能力を維持するうえでは、有酸素運動と筋力トレーニングの両方を習慣づけることが非常に有益だ。また、運動は、抑鬱と認知症の発症を減らし、認知機能の維持にも役立つ。
社会的・心理的な要素も無視できない。家族や友人と一緒に時間を過ごし、社会への参加意識と生き甲斐をもつことの価値は非常に大きい。多くの研究によると、年齢を重ねることを前向きにとらえている人は、そうでない人よりも長生きする傾向があるようだ。
たとえば、老化に関わるバイオマーカー(生物学的指標)を血液検査で調べた研究では、孤独を感じていたり、不幸せに感じていたりする人は、生物学的年齢が1.65年高くなることがわかっている。
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