「大きくて美しい法案」を巡りイーロン・マスクがトランプ大統領を公然と批判。あっさりと崩壊した蜜月関係に修復はあるのか?

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何より、トランプ政権がSpaceXとの関係を断絶すれば、アメリカの宇宙開発は大きく後退し、台頭著しい中国の宇宙計画が、この分野で明確な優位に立つ可能性が高まってしまう。これはトランプ大統領も避けたいはずだ。

とはいえ、SpaceXはNASAや軍など、アメリカ政府との契約や補助金があって成立している企業でもある。実際にマスク氏がSpaceXによる政府への協力をやめることはないだろう。

吠えるマスク氏、動じない大統領

もし、トランプ政権が本気でマスク氏にダメージを与えたいならば、アメリカ政府に利益をもたらすSpaecXなどの契約を打ち切るのではなく、規制当局を通じてマスク氏の企業に影響を与えるほうが効果的かもしれない。

たとえばSpaceXに対しては、アメリカ連邦航空局(FAA)による安全監査などを厳しくしてStarshipの開発や打ち上げ施設の拡充に足かせをはめることができる。

DOGEでのマスク氏の強引な振る舞いに対する消費者の反発に遭い、売り上げや株価が低迷しているテスラに対しても、アメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)を通じて、AutopilotやFSDといった看板機能の開発に対する監視を強化することもできるだろう。

トランプ大統領 ホワイトハウス
ホワイトハウスでのトランプ大統領(写真:Eric Lee/© 2025 Bloomberg Finance LP)

だがトランプ大統領は、マスク氏には言いたいように言わせておく姿勢でいるようだ。そして今後は、マスク氏が政府の各所に推薦した人材を一掃していく可能性もあるかもしれない。5月末にはすでに、マスク氏が次期NASA長官に推薦していたジャレッド・アイザックマン氏が、候補から外されている。

トランプ大統領は依然として、「大きくて美しい法案」が7月4日までに可決されることに「非常に自信を持っている」と述べており、声高に反対する「マスク氏が法案を阻止できるとは思わない」とした。また「共和党を見れば、これほどまでに団結したことはないとわかる」とも語り、「この法案は素晴らしい」と自画自賛している。そして、もはや終わったことだとして、先の選挙では最大の支援者だったマスク氏との関係修復の可能性を否定した。

タニグチ ムネノリ ウェブライター

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たにぐち むねのり / Munenori Taniguchi

電気・ネットワーク技術者として勤務したのち、Engadget 日本版(閉鎖)でウェブライターとして執筆開始。以降、Autoblog 日本版(閉鎖)、Forbes JAPAN、Gadget Gate、Techno Edgeなどでグローバルなトピックを中心に執筆。得意ジャンルはIT・ガジェットからサイエンス、宇宙、自動車・モータースポーツ、音楽・エンタメ、ゲームと幅広い。

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