ちなみに、出生動向基本調査によれば、知り合ってから結婚するまでの平均交際期間は約3年です。新たな出会いがない3年間が若者の結婚にとってはいかに重要な期間かがわかるというものです。
こうしたコロナ禍における「恋愛ロックダウン」が、2020年以降の婚姻激減に影響を与えたことは間違いないでしょう。
2024年の概数値では、婚姻数が前年比でプラスに転じています。これをひとつの光明と見ることもできなくはないですが、それも下がりすぎた前年に対してのプラスに過ぎず、これをもって婚姻数増加への反転などと見るのは短絡的です。
48万人の子どもが失われた可能性も
そもそも、もしコロナ禍による「恋愛ロックダウン」などというものがなかったとしたら、婚姻数が減ったとしてもこれほどまで激減していたかという話です。前半の2004-2019年までの15年間で2割減のペースのまま推移していたと仮定して計算すると、2020-2024年の5年累計の見込み婚姻数は約281万組でしたが、実際のそれは約249万組でした。差し引き32万組の婚姻が失われたことになります。
発生結婚出生数の計算式によれば、1婚姻当たり1.5人の期待出生数があります。つまり、この期間32万組の夫婦が失われたことで、48万人の子どもが失われた可能性があると言えます。
もちろん、あくまで机上の計算ですから現実がその通りいったとまでは言いませんが、若者にとっての3年間は中高年の3年間とは比べようがないほど貴重なもので、その若い時期での経験には、その時でなければならない偶然性があり、その偶然性は若い時だからこそ、後に人生の必然になり得るものです。今さらですが、この偶然の機会を若者から奪ったことはどれほど罪深かったことでしょうか。
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