しかし、その後は、婚姻数の減少よりも出生数の減少の方がゆるやかで、結婚した夫婦は子どもを産むという方向に転換していきました。より正確にいうならば、2014年ごろを境に、子どもを複数育てられるだけの経済力のある若者だけが結婚できるようになったというべきでしょう。2014年以降、如実に「結婚と出産の意識のインフレ」が加速し、結果として「中間層の経済力の若者には手の届かないものになった」潮目の変化がこの頃です。
そして、2019年には令和婚という特殊事情があって一瞬婚姻数が増えましたが、深刻なのはその後の2020年以降コロナ禍に伴う婚姻数の激減現象です。当時は、緊急事態宣言などもあり、大勢が集まる結婚式などは開催することも憚られました。
しかし、結婚式ができなかっただけで婚姻数そのものが減ったわけではありません。もしそれだけが原因なら、少なくとも2023年以降婚姻数が復活して然るべきでした。
が、現実はそうなっていません。たとえば、コロナ禍以前に結婚しようと思っていた若いカップルがいたとしましょう。コロナ禍により結婚式をする予定を中止しただけではなく、プロポーズや結婚そのものを中止してしまった場合もあるかもしれません。結婚とは勢いとタイミングが重要です。それらをあの期間の閉塞感が消失させてしまった可能性もあります。一度失った勢いやタイミングはその後復活するとも限らない。そうした見えない「コロナ破局恋愛」は決して少なくはないでしょう。
コロナ禍がカップルの誕生を阻害
加えて、コロナ禍の最大の問題点は、2020-2022年の3年間、若者にとっては「恋愛ロックダウン」ともいうべき事態に見舞われたことです。大学の新入生も会社の新入社員もしばらくは同期と直接の対面の機会もなければ、飲みに行ったり、一緒に遊びに行く機会もなかったはずです。いうなれば、若者にとって新しい出会いの機会が失われてしまったわけです。
その出会いの喪失はそのまま恋愛機会の喪失につながり、本来2020年から2022年の間に出会って交際し、2023年以降に結婚したかもしれないカップルの誕生を阻害しました。
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