「1万円のラーメンがあってもいい」 《1000円の壁》を突破したラーメン。15周年・国内トップの「飯田商店」店主が語る、価格への”本音”

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「自分の今やっている仕事の精度を上げていき、ラーメンで仕事をしてその対価をきちんといただくという一例というか実績を作っていかないと、下の世代やこれからラーメン屋を目指す若い人たちが目指しづらくなってしまうと思うんです。

『この範囲でしかやっちゃいけないんだ』みたいな制約はなくして、幅を決めずに無制限であるべきです。

そうなればすごい職人がこれからもっと出てくると思います。とんでもないものを作り上げて、これだけの仕事量をこなして、さらっと定時に帰れる店主も出てくるはずです。

そういう未来を作るためには、ラーメン屋を目指したら仕事としても職人としても人生としても充実していて、経済的な部分においてもちゃんと潤うものにしていかなくてはいけません」(飯田さん)

ラーメン屋を、職業として魅力のあるものに

個人のラーメン屋の中には仕込みから営業、片付けまでを不眠不休で行い、時給換算したら基準を大いに割り込んでしまっている状態のお店も少なくない。

その中で「1000円の壁」とも戦わなくてはいけないのでは八方塞がりにも程がある。そこから脱却してラーメン屋を、職業として魅力のあるものにすることで未来を作ろうとしているのだ。

実際、多くのラーメン店では人材不足に悩んでおり、文化としてさらなる発展を遂げていくには、職業としての地位向上は必須だろう。

調理中の飯田さん(筆者撮影)

また飯田さんは、店主の顔の見える一杯の価値をもっと上げていきたいと話す。

「ラーメン屋は自由であって良いのですが、自由だからこそ、店主が作った心温まる一杯をお客様に出す価値は変わらない。毎日当たり前のことをやらせてもらってるんですけど、その価値はむしろ増しているとも思います。

今はラーメンはどこで食べてもおいしいですし、カップ麺は監修商品も全部おいしい。お店に来られない人や家庭の中でしかラーメンを食べられない方もいます。だからこそ我々ラーメン職人はもっと考えなくてはいけない。常に先を行っていなければいけない。

そのためには、答えは現場にしかないので、とにかく現場でやり続けるしかないんですよね」(飯田さん)

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