「流通株式比率」で追い詰めるアクティビストの投資戦略を東証が封印、逆に上場廃止の瀬戸際企業は"命拾い"へ

「水面下で勝手に進められた、とんでもない話だ」
アクティビスト(モノ言う株主)であるストラテジックキャピタルの丸木強代表は憤る。矛先を向けているのは東京証券取引所だ。
火種は、東証が4月23日にホームページ上で公表した「流通株式」に関する見解だ。要約すると「外国の投資信託に組み入れられている株式は、流通株式とみなす」という内容。一見、何の変哲もない公表文に思えるが、実はアクティビストの「投資戦略」を封殺する威力を持つ。
この公表によって救われた上場企業がいる一方、狙い撃ちにされたアクティビストからは反発の声が上がる。
安堵する大阪製鉄
「上場維持基準の充足の確認についてのお知らせ」。
日本製鉄系の電炉メーカーである大阪製鉄が5月1日に示したこの発表文には、安堵感がにじんでいた。東証が公表した見解によって、上場廃止の瀬戸際から救われたからだ。
大阪製鉄の株式は、ストラテジックキャピタルが約12%を取得している。6月25日に控える株主総会では、配当方針の変更や日本製鉄との親子上場の解消を求める株主提案を行っている。
会社側にとっては株主提案だけでも頭痛の種だが、さらに悩ましい問題があった。東証が定める上場維持基準の1つである、流通株式比率だ。
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