社会的な交流が健康に役立つことを示す、こんなデータもあります。
新型コロナウイルス下での社会活動との関係を調べた調査(日本老年学的評価研究プロジェクト「2020年新型コロナ感染症流行下の高齢者実態調査」 )によれば、コロナ禍で趣味や外出、友人・知人との対面などの活動量が減少した人は、活動量を維持した人と比べて、要支援・要介護になる相対リスクが1.2〜2倍高かったのです。
同団体の別の調査(愛知県知多郡武豊町の高齢者2600人を7年間追跡した調査)でも、介護予防を目的とした「憩いのサロン」への参加によって、認知症のリスクが3割減ることもわかっています。
やりがいを持って生きる女性
実際に、社会的な交流によって生活が大きく変化した方もいます。
筆者の知り合いの女性Bさん(75)は、高齢者の居場所作りとして住民ボランティアが運営するマージャン教室に10年近く通っています。長年通い続けるうちに、自分にとっての大切な居場所となり、そのうち教室の運営に関わるようになりました。
彼女は大切な役割を任されたことで、より一層やりがいを持って参加できるようになったそうです。今では同世代の友人知人も増え、お茶会やランチ会を定期的に企画して出かけるなど、新たな交流の場も増えたと楽しそうに話していました。
冒頭で紹介したAさんの夫も、後述したマージャン教室に通うBさんも、アクティブな性格の持ち主で、自主的に動いて人と交流できる人たちです。
しかし、必ずしもそうではない(むしろAさんのような内向的な)人もいると思います。そんな方たちに紹介したいのが、介護が必要になる状態をできる限り予防し、自立した生活を送ることができるようにするための「介護予防」の取り組みです。
実は今、全国的に活発化しているのです。
介護予防とは、簡単に言うと、要介護状態の発生や悪化を防ぐ(あるいは遅らせる)こと。高齢者の運動機能や心身機能の改善、さらに社会参加を促すことで、QOL(生活の質)を向上させるのが目的です。
例えば、過去に紹介した記事(使わないと損!「介護申請」前でも使えるサービス)にある「介護予防・日常生活支援総合事業」もその1つ。
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