「司法まで掌握することになれば独裁だ」、韓国で台頭する《怪物独裁国家》誕生の危ういシナリオ
「共に民主党」は大統領選挙直前には、同委員会で虚偽事実公表罪を構成する要件のうち、「行為」を削除する公職選挙法改正案を通過させている。今後、この改正案が国会の本会議で成立し、政府がこれを公布すれば、イ大統領の罪はなくなり、免訴判決を受けることができる。
さらに、大統領に当選した被告人の場合、刑事裁判の手続きを停止するようにする刑事訴訟法の改正案も先月、同委員会を通過している。委員長を務めるのは、「共に民主党」所属のチョン・チョンレ議員だ。
そのうえイ大統領は、ムン・ジェイン政権が進めた検察改革を推し進めるとしており、「捜査と起訴を分離し、検察の起訴の乱用を統制する」ことを公約に盛り込んでいる。
イ大統領のための検察改革
検事出身の保守寄りの人物は言う。「イ大統領の検察改革は自分のため。自分が起訴された事件についても、起訴された事実自体をなくそうとするだろう。起訴した検事は洗い出され、放出される」。
大統領選挙期間中に検察改革について聞かれた際、イ氏は「国民が考える常識に合う程度にやればいいのではないか」と答えていた。これについて、前出の元検事は「彼の言う『国民』とは、自分の熱烈な支持者だ。自分を熱烈に支持している彼らが納得するような改革を行うことを意味している」と指摘する。
実際、「共に民主党」を熱烈に支持している知人に聞くと、同じような答えが返ってきた。「裁判で有罪になるかもしれない人物を大統領にしても大丈夫なのか」と問うと、こう答えた。
「あれは検察による捏造だから、もともと罪がないのに起訴された。大統領になったら整理される」
60代の知人は、軍事政権下で民主化運動が行われ、大学に警察が常駐していた時代に大学生活を送った。かつて軍事独裁政権時代に無辜の罪で拷問されたり、刑務所に追いやられた友人らの記憶は今も残る。彼らへの負い目もあるという。
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