「司法まで掌握することになれば独裁だ」、韓国で台頭する《怪物独裁国家》誕生の危ういシナリオ

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しかし、実際に裁判で有罪にもなっており、関連の裁判ではかつてイ大統領と共に起訴された人物も有罪となった。そうした事実は熱烈な支持者には見えなくなっている。

日本は「最強の力を持った大統領」と対峙することに

最大野党だった「共に民主党」は国会で半数を超える議席を持つ与党となり、与党寄りの議員を含めれば、300議席中190議席近くになる。行政ではイ大統領が誕生した。前出の元検事は言う。

【2025年6月6日8時35分追記】議席数について上記のように修正しました。

「司法まで掌握することになれば、それは独裁だ」

韓国では、今回の戒厳令を受けて、大統領の権限を削減するための改憲が議論されている。イ大統領は選挙期間中、大統領は「4年制の連任制」とし、国務総理を国会の推薦とし、国会の権限を強化することなどを挙げた。任期を今の5年制から4年制にし、ただし、続けて大統領に就けるようにするというものだ。

重任制(2回に限る)と異なるのは、当選すれば何度も続けられるという点。これに異議を唱えた記者に対し、イ大統領は「そんなに心配なら一度のみという文言を入れればいいだけの話」(東亜日報・5月27日付)とサラッと返答している。改憲になった際、その文言は入るのか。記事は疑問を呈していた。

大統領には憲法で在任中の犯罪については刑事訴追されないとしている。ただし、係争中の裁判の続行については定められていない。裁判の行方はどうなるのか。「最強の力を持った大統領」を日本は相手にすることになりそうだ。

菅野 朋子 ノンフィクションライター

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かんの ともこ / Tomoko Kanno

1963年生まれ。中央大学卒業。出版社勤務、『週刊文春』の記者を経て、現在フリー。ソウル在住。主な著書に『好きになってはいけない国』(文藝春秋)、『韓国窃盗ビジネスを追え』(新潮社)がある。

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