「豚肉が売れない」「会社が暗くて気分が落ち込む」 韓国"新大統領"を待ち受ける《経済復活》の険しい道

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韓国の新大統領に選ばれたイ・ジェミョン氏(左)。その眼前には問題が山積しているが、とくに悩ましいのが経済の低迷だ(写真:ブルームバーグ)
6月4日、韓国の第21代大統領に「共に民主党」のイ・ジェミョン候補(61)が選出された。ユン・ソンニョル前政権への審判が下された結果となったが、「国民の力」のキム・ムンス候補(73)の得票率41.15%との差は8.27ポイントにとどまった。前大統領が罷免され、有利と言われた選挙戦の見通しとは異なり、圧倒的な勝利とはならなかった。
新大統領はどんな人物で、直面する課題にどのように対応していくのか。東洋経済オンラインでは前後編に分けて、現地在住ジャーナリストの分析をお届けする。前編は経済と外交について掘り下げる。
後編:「司法まで掌握することになれば独裁だ」、韓国で台頭する《怪物独裁国家》誕生の危ういシナリオ
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誰がイ氏を支持したのか

「罷免となったパク・クネがムン・ジェインを生み、ムンが検事総長に指名したことでユン・ソンニョルが誕生し、戒厳令を出したユンがイ・ジェミョンを生み出した」。最近の韓国でこんな話がささやかれている。政敵が政敵を次の大統領に押し上げる、奇妙な「敵対的共生関係」が代を継いだことになる。

「第3の候補」として注目された保守派「改革新党」のイ・ジュンソク候補(40)は得票率8.34%と、“10%の壁”を越えられなかった。同じく保守派の「国民の力」は候補者擁立の過程から党内の権力闘争があらわとなり、敗北の責任論も相まって分裂の危機もささやかれる。「保守陣営で大規模な再編が起きるのではないか」と噂されるほどだ。

今回の大統領選挙の投票率は79.4%で、前回の77.1%を超えた。両陣営の遊説で話を聞いた際は、どちらも「時計の針を戻してはいけない」と相手を牽制する言葉が多く聞かれた。

遊説に耳を傾ける20〜30代の男女の支持層も明らかに違っていた。得票率の割合を見ると、20〜30代の男女では、男性の60〜70%が保守派(「国民の力」のキム候補や「改革新党」のイ候補)を支持し、女性は60%近くが「共に民主党」のイ候補を支持した結果が出ている(韓国地上波テレビ局3社の共同出口調査)。

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