「豚肉が売れない」「会社が暗くて気分が落ち込む」 韓国"新大統領"を待ち受ける《経済復活》の険しい道

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韓国では、選挙期間中の5月29日、中央銀行である韓国銀行が今年度の経済成長率がゼロ成長(0.8%)となることを発表し、衝撃が走った。韓国がゼロ成長になったのは、これまでに5回ある。朝鮮戦争直後、オイルショック、アジア通貨危機、リーマンショック、コロナ禍とすべて対外的な原因だったが、今回のゼロ成長の背景としてはトランプ関税ショックと内需の不振、そして構造的な問題も挙げられる。

アメリカは韓国に対し、4月3日から輸入自動車に25%の関税をかけており、5月の輸出額は前年同月比で32%も減少した。韓国にとってアメリカは、中国に次ぐ2番目の輸出相手国だ。自動車は半導体に続く輸出規模があり、全体の対米輸出額を押し下げた。

半導体や電池など韓国が得意としてきた分野はもちろん、AI(人工知能)も中国に後れを取っているという危機感が出ており、構造的な問題が韓国経済の命運に直結しているともいわれる。

景気の悪さは、ソウルの街を歩いていても肌で感じるようになった。

物価高が言われて久しいが、人気の飲食店に行っても満席になっている様子を見る機会はグッと減った。韓国には個性的でSNS映えするようなカフェが多く、これが観光客の人気の1つにもなっているが、コロナ禍中でも増えていたカフェ数が今年に入って減少に転じたことがニュースになった。

養豚業を営む知人は「最近、豚が売れなくなった」とこぼす。少し前には牛肉が売れなくなり、廃業した畜産業の同業者の話をしていたが、今度は牛肉より手頃な価格の豚肉でさえ買われなくなったという。

大手企業も例外ではない。知り合いが勤める会社では、電気代を節約するよう通達を受け、職場では照明が落とされて、「暗くて、気分も落ち込む」と話していた。

株価指数“倍増”計画の行方

こうした不況を背景に、イ大統領が公約としてぶち上げたのが「KOSPI(韓国総合株価指数)5000」だ。足元のKOSPIは2700台で推移しているが、4月末、自身のSNSに「コリアディスカウントを終わらせる」と書き込んだ。

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