「豚肉が売れない」「会社が暗くて気分が落ち込む」 韓国"新大統領"を待ち受ける《経済復活》の険しい道

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日本にとって最も気になるのは、日韓関係の行方だろう。日本に対して強硬な態度をとってきたイ氏が大統領に就任したことで、両国の関係がどう変わるのか、大統領選挙前から不安視する声が出ていた。

イ大統領は選挙期間中、自身のSNSに「日本の国民に強い好感を持っている」「(世間には私が)日本に敵対的だという先入観がある」と書き込んだ。これについて、日本と韓国でビジネスをしている知人は「世論を見た戦略だ」と指摘する。

「前政権のときは、韓国と日本の“かせ”がとれたというか、本当に何の心配もなしにビジネスができた。精神的にこんなにもラクなものかと思った。イ大統領のSNSの書き込みは本心ではないだろう。実利を重視する人物だから、今後、自身の情勢が不利になったときには何が起きるかわからない。そんな漠然とした不安をまた考えなければいけないかと思うと、ため息が出る」

イ大統領は「交流と歴史問題は別」としており、公約には「従軍慰安婦の記録物をユネスコの世界記憶遺産に登録すること」を挙げている。また、1978年に発効した「大陸棚の南部の共同開発に関する協定」(済州島の南方200キロメートルの第7鉱区と呼ばれる大陸棚は日韓で共同開発されてきた)の期限満了(2028年6月22日)の行方も、日韓の新たな火種になる可能性をはらんでいる。

ただ、「現在の世界情勢から、日本とはしばらくの間、今の良好な関係が続くのではないか」と、中道系紙記者は言う。「目下の課題はアメリカだ。関税、そして駐韓米軍の撤収をほのめかしているトランプ政権とどう渡り合っていくのか。日本とは協力していくのが実利だろう」(同)。

「経済対策」が喫緊の課題

通常の60日間の引き継ぎ期間はなく、6月4日11時に就任式が行われ、イ・ジェミョン新大統領は公務に入った。さっそく国務総理と大統領府の秘書室長、大統領府の安保室長、国家情報院長などを指名・任命した。

「安保室長には、日本の外交についても詳しく、日本政府ともパイプを持つ元外交官のウィ・ソンラク氏を抜擢していて、日本はホッとしているのではないか。国家情報院長にはノ・ムヒョン政権時に統一相を務めたイ・ジョンソク氏を指名したが、この人事には南北首脳会談への意欲が見られる。喫緊の課題であるトランプ関税と経済の対策を率先して進めるため、企画財政部、産業通商資源部(いずれも日本の省に相当)の両大臣もすぐに任命するのではないか」(前出の中道系紙記者)

国内に目を転じれば、課題が山積みだ。選挙前の世論調査では、6割の有権者が次期大統領に「経済の回復」を求めていた。

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