もちろん首脳同士が口角泡を飛ばし激しくやりあう首脳会談は珍しくない。しかし、それはメディアのいない場での真剣勝負である。国を代表するトップ同士が国益をかけて議論を戦わせ妥協や譲歩し合意点を探る。それが首脳外交である。
ところがトランプ大統領の外交はしばしばその枠から外れている。特に相手が弱いと思ったときのトランプ大統領は、首脳会談を自らの主張の正当性をアピールし、要求を受け入れさせる場だと考えているようだ。
その背景には、妥協や譲歩を敗北と考える「ゼロサムゲーム」の発想がある。これは今の時代の外交の概念から外れている大国主義的、権威主義的な対応だ。
これでは首脳間の信頼関係構築などできるわけがない。恥をかかされた側は、自らの威信や権威に傷をつけられたわけで、国内政治で生き残るためにも簡単にアメリカの要求に応じるわけにいかなくなる。トランプ大統領に対する憎しみや憎悪さえ生まれかねないだろう。
さらにホワイトハウスでの首脳会談に応じれば何を仕掛けられるかわからないとなれば、トランプ大統領との会談を敬遠する首脳が増えることもありうる。その結果、アメリカの影響力は低下していくだろう。
首脳外交を担うNSCの職員を半減させた
そして、ここにきてさらにトランプ外交を劣化させる問題が起きている。
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