執念見せたドコモ、“悲願の銀行買収”に透ける焦り 「交渉破談⇒住信SBIネット銀の早期獲得」に動いた背景とは?
悲願だった銀行の獲得を実現し、ドコモはこれまで金融機関に支払ってきた事業コストを内製化するとともに、顧客に銀行口座、決済、証券などを一体提供して、自社経済圏のさらなる強化を図ることが可能になる。約2000店舗を擁するドコモショップを活用した銀行口座の獲得や、特典を通じた携帯電話回線や金融サービス、銀行口座との連携などが想定されている。

今回、「あらゆる選択肢」(前田社長)の中から、住信SBIネット銀の買収を決断したのは、ドコモにとっていくつかの大きな魅力を備えていたからとみられる。NTTの島田明社長は会見で、「基本的にトランザクションができればよく、店舗やATMなどの重たいものはいらない」と説明し、ネットバンクが条件を充足していたと示唆した。
住信SBIネット銀の足元の預金残高は9.8兆円とネットバンクで業界2位。シニア利用者が多いとされるドコモは若年層の開拓が課題で、その意味でもネットバンクは訴求しやすい利点がある。前田社長は「(住信SBIネット銀は)経営基盤の安定性、収益性に加え、高度なAI、デジタル技術などの先進性を備えている」と強調し、島田社長は「ベストなソリューションになろうかと思う。最高のパートナリング」と胸を張った。
一度は物別れに終わった交渉
もっとも、買収をめぐる交渉はスムーズに進んだわけではなかった。
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