「好んで西武池袋線に住む人はいない」のは本当か 池袋の文化度は「東急系の渋谷」に負けていない

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WAVEの本店的な存在は六本木にあり、映画館も併設、カフェは「雨の木(レインツリー)」(大江健三郎由来)という名で、要するに80年代から本格化する日本の消費文化を語るときには欠かせない象徴的な存在だった。いまから振り返ると、知的スノビズムにみえなくもない、そうした西武系の文化=セゾン文化の拠点のひとつが池袋だった。

パルコ発祥の地も池袋だし、個性的な書店もそろっていた。西口には東京芸術劇場があり、その先には立教大学がある。東急系の文化+青山学院大学があるという渋谷の街の構成に対してもひけをとらない〝文化度〟ではないだろうか。

西武池袋線は東急田園都市線や中央線より下なのか?

にもかかわらず、池袋の「ポジション」は高かったとは思えない。追い討ちをかけるように、西武百貨店は投資ファンドに売却された。2023年8月、百貨店のプライドを守ろうと労働組合はストを打って抵抗したが、百貨店区画は半分に減るようだ。2025年2月現在、同店は大規模な改装工事中である。

西武百貨店の1階入口にはかつてセゾン美術館の噴水があった。とってつけたように現代アート作品が展示されていた。これはセゾン文化の消滅を物語っているだろう。それに加え、池袋の象徴ともいえる西武百貨店まで消え入りそうになっている。いやはや、しみじみとさせられる。

セゾン美術館の痕跡のようなオブジェは健在だった(2025年2月現在、撮影は2023年12月。筆者撮影)

続いて、西武池袋線(ほかの路線も含む)について述べようとすると、同じようなニュアンスを繰り返すことになる。ある歴史家が「好き好んで西武池袋線に住む人はいない」という意味合いのことを語っている。要するに、西武線は東急線や中央線より「下」ということだ。

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